チーム
2025-26 大同生命SV.LEAGUE MEN
開幕直前インタビュー/
西田 有志キャプテン
2025年10月22日
勝敗を分ける「準備」の大切さ
大阪ブルテオンの選手になって、今年で3シーズン目。「キャプテンに就任してほしい」と言われて、断る理由はありませんでした。
とはいえ、キャプテンだからと特別なことをするのではなく、僕が今までやってきたこと。こだわってきたことを変えるつもりはなく、僕に求められているのは監督がチームに対して求めることに対して、選手はどう感じるか。その橋渡しとなるようなコミュニケーションを取ることだと思っています。実際にサムさん(トーマス・サムエルボ監督)からも「選手に対してここはプッシュしてほしい」と言われることもあるので、同じミスをしている選手がいたら、なぜそのミスが生じるのか。フィニッシュばかりに目が向けられがちですが、そうではなくもっとその前段階。たとえばスパイクミスを1つとっても、本来の修正すべき問題は腕の振り方や、最後の打ち方ではなくもっと前のところ、助走やジャンプに問題が起きているという原理原則を伝えることはできる。1つ1つのプレーに対して言及するのはコーチの方々が果たしてくれるものでありますが、準備の大切さに関しては同じ選手という目線で、僕ができることもあるのではないかと考えています。
なぜそう思うのか。僕自身が「準備」を大切に取り組んできたからです。
試合に向けて、練習に向けた身体の準備だけでなく、練習に入るまでの準備や、試合をする対戦相手に対する準備。ひと言で「準備」といってもやるべきことはたくさんあります。
僕は日頃からバレーボール選手に限らず、一流と言われるトップアスリートは人一倍準備して、努力している人たちだと思っています。「能力があるから」と思われるかもしれませんが、能力がある人たちが努力しているから輝く。表面だけでは見えない根本が、アスリートを評価する成績につながる。それが僕の考え方の軸でもあります。
昨シーズン、ブルテオンはレギュラーラウンドを1位で通過したにも関わらず、チャンピオンシップで敗れ、決勝進出を果たすことができませんでした。僕はその差は力の差ではなく、準備の差だったと受け止めています。絶対に負けられないとプレッシャーがかかる場面で、どれだけいつもと同じようにベストのパフォーマンスを発揮できるか。そのためには、さまざまな準備が必要で、何か1つでもサボっていたら、最後に勝てるチームにはなりえません。
ただ何となく返したチャンスボールと、次の攻撃につなげやすいようにと丁寧に、100パーセント集中して返すチャンスボールの質は絶対に違う。そこまでこだわる、しかも個ではなくチームとしてこだわることがチームワークだと僕は思うし、こだわり続けていきたいです。
監督が理想とするチームになって結果を出す
監督が変わればチームも変わる。サムさんが監督になって、また新しいスタイルも生じています。キャプテンとして、僕がやるべき仕事は、サムさんが求めることと、チームの意見をいかに一致させることができるか。それができて初めて、フィットすることにつながるので、ひとつのチームとして戦うためのコミュニケーションをいかに図るか。非常に重要な役割でもあります。
たとえばサムさんが言うことに対して、選手が疑問を抱けば「これはどういうこと?」と聞きに行く。サムさんは常にその言葉や求めることの本質を説明してくれるし、すべての答えが的を射ている。だからこそ選手側には、サムさんから当たり前だと理解していることに対して言われたとしても「そんなことわかってるよ」という態度や反応はしてほしくない。
もちろん1人1人考え方も違うし、やってきたことも違うので、考える正解も違うかもしれない。でも僕たちが今やるべきは、監督が求める、理想とするチームになって結果を出すことです。僕たちが重ねてきた経験よりもはるかに長く、豊富な経験を持つ監督の指示を最初から「わかってる」と言うのではなく、そこからどうすればもっとよくなるかを考えて体現する。そのためにもやっぱり、僕は大切なのは「いかに準備をするか」だと思っているし、サムさんも僕の考えに理解してくれています。
日々の練習時、僕は誰よりもやるべきことが多いので、チームの中で誰よりも早く体育館へ来て準備をします。でもそれは、僕が必要だと思ってやっていることであって、他の選手たちに強いるわけではないし、その必要もない。僕にとっての正解があるように、選手それぞれの正解を見つけて、それぞれが100パーセントの準備をして臨むことができれば、もっと強くいいチームになれる。そのために、働きかけるのが僕の仕事だと思っています。
キャプテンは他責で成り立つポジションではなく、自責でなければ成り立たない。まずは自分に矢印を向けて、先頭を走るのではなく、全員が同じ方向に進んでいくための準備をしたいし、やり続けていくつもりです。
サボりを見逃さず「引き上げる」のがキャプテンの仕事
スポーツには勝敗がつきもの。もちろん勝つことを求めていますが、負けることもあります。そしてそこから学ぶこともあります。
あくまで僕自身の考えですが、勝ちを求めることは当たり前でも、勝てば何でもいいというチームにはなりたくない。すべてのプレー、準備を丁寧にするチームでありたいし、誰かが楽する、サボるチームにはなりたくありません。
勝っても負けてもいつも100パーセントで取り組む。だから僕は日々の練習から、言うべきことは言うつもりです。そしてその言い方も、一方的に言うのではなく、なぜそれがダメなのか、ということも併せて伝える。たとえばボールを追わなかった選手がいたとしたら「行けよ」ではなく「そのボールを追わないのはチームのためじゃない」と伝える。そのやり取りを重ねる中で、むしろサボることに違和感を抱くようなチームになりたいと思っているし、それがきっと、最後に勝つチームになれる道のりだと信じています。
当たり前のことを、当たり前に。そんなチームになれるように僕は引き上げていきたい。そして、1人のバレーボール選手として、大阪ブルテオンはスポーツが与える魅力や盛り上がりを伝え、見せられるチームにしたいと思っています。
あえて僕は“サポーター"と言いますが、サポーターの皆さんも一緒に戦ってくれたら嬉しいですし、負けた時は一緒に悔しがるような関係性でありたい。それぐらい僕らは熱く戦うし、会場に来てくれるサポーターの皆さん、応援して下さる皆さんも熱いシーズンになればと願っています。
見方は人それぞれですが、あくまで僕自身の意見としては、やっぱりブルテオンの試合は見ていて声を出して応援してしまう。そんなチームでありたいし、試合を見せたいです。声出しが正義というわけではないですが、応援して下さる方も自然に声が出てしまうというのは一緒に戦っているからだと思うし、僕はそういうチームを目指したい。たくさんの観客の方々が訪れて下さって、声を出して応援してくれる中で僕たちは戦いたい。
引き上げるのは僕らで、盛り上がるのはあなたです。今シーズンも、一緒に戦って下さい。